太陽光パネルの水平リサイクル
急速に普及が広がっている太陽光発電において、増加が予想される廃棄パネルのリサイクルが注目されています。太陽光パネルの水平リサイクルとは、廃棄パネルをリサイクルして同じ種類の製品に作り変えることです。本記事では、太陽光パネルの水平リサイクルについて掘り下げ、解説します。
太陽光パネルの水平リサイクルとは?
太陽光パネルの水平リサイクルとは、廃棄された太陽光パネルを再利用して新しく同じ種類の製品を製造することです。回収した廃棄パネルを材料として太陽電池モジュールにリサイクルする取り組みは、国内以外でも欧米や中国などで実施されていました。現在は太陽光パネルにおいてもリサイクルにおける国外での取り組みが進んでいます。
太陽光パネルの水平リサイクルは、アルミフレームを外した廃棄パネルを600℃以上の過熱水蒸気を使用してガラスと太陽電池セル、銅線に分別し、封止材は熱で気化します。このように廃棄パネルを素材の状態に分解して、新たな太陽光パネルを製造するというものです。現在使用されている太陽光パネルは中国製が主流となっています。廃棄パネルのリサイクルによって原材料を得て新たな太陽光パネルを製造することで、中国製よりも低コストでの製品化を目指しています。
新品の太陽光パネルは寿命が20〜30年程度といわれ、2030年代より大量の廃棄パネルが出るといわれています。太陽光パネルの水平リサイクルが実現したももの、発電能力は新品の5割程度なので、発電能力の向上が課題です。
太陽光パネルの水平リサイクル技術開発の事例
「ホットナイフ分離法」による太陽光パネルの水平リサイクル
太陽光パネルの製造装置販売や検査などの事業を展開している「エヌ・ピー・シー」が、これまでに培った技術を応用して太陽光パネルのリサイクル事業に乗り出しました。約300℃に熱したナイフで樹脂を切断して、太陽光パネルのガラスを割ることなく素材を分離できる技術です。エヌ・ピー・シーでは、ホットナイフ分離法を活用することで水平リサイクルも可能だとしています。
熱分解によるリサイクル技術の事業化
北九州市にある三菱ケミカルグループの「新菱」が、熱分解によって樹脂製封止材を気化し、ガラスや銀、銅などの素材をほぼすべて回収する技術を実用化しました。新菱では2010年ごろから太陽光パネルのリサイクルに取り組んでいます。本来2022年に処理施設の稼働を目標としていましたが、新型コロナウィルスの影響で稼働が遅れてしまいました。2023年10月現在は事業化しています。
太陽光パネルリサイクル装置の基礎知識もチェックしよう
太陽光パネルの水平リサイクル技術が固まり、発電力が向上すれば、今後増加すると見られる廃棄パネルの効率的なリサイクルが可能となります。今後さまざまな企業が展開するリサイクル装置に期待しましょう。
以下のホームページでは、太陽光パネルリサイクル装置についてさまざまな情報を発信しています。ぜひ参考にしてください。