CdTe太陽電池のリサイクル
カドミウムとテルルを主要な原材料として作られているCdTe太陽電池は、光吸収にすぐれており薄膜化にも貢献しています。ここでは、CdTe太陽電池の特徴とリサイクル事情について紹介します。
CdTe太陽電池とは
CdTe太陽電池は、テルル化カドミウム(CdTe)を原材料とする化合物半導体系の太陽電池です。
化合物系太陽電池にはさまざまな種類がありますが、CdTeは変換効率の高さに加えて生産にかかる期間が短く、コストも低く抑えられる点がメリットです。
欧米などの海外では実用化され、発電所向けの製品として販売されています。日本国内ではカドミウム(Cd)が公害物質として認識されていることから、開発に乗り出した企業が撤退したことで、現在もCdTeを原材料とした太陽電池の開発は行われていません。
CdTe太陽電池のリサイクル事情
日本国内では一般向け・事業者向けにCdTe太陽電池が生産されていないため、リサイクル施設の整備や導入も行われていません。
しかし、CdTe以外の化合物系太陽電池としてCIS太陽電池やCIGS太陽電池などは実用化されており、有害物質が含まれることから、有害物質を適切に回収する廃棄・リサイクル方法の確立が課題となっています。
東京大学と横浜国立大学が実施したCdTe太陽光発電システムの環境と健康安全に関する科学的レビューによれば、米ファーストソーラー社では、同社の製品であるCdTe太陽光発電システムについて、ガラス90%・半導体素材(CdTe)95%という高いリサイクル率を達成していることがわかりました。(※1)
同社では、販売後に使用済みとなったCdTe太陽電池を無償で回収し、カドミウムなどをリサイクルするプロセスを確立しています。具体的には「閉ループリサイクル」を行い、半導体に利用できる純度へと精製しています。(※2)
CdTe太陽電池のリサイクル事情を押さえよう
CdTe太陽電池は、従来の太陽電池のように原材料を大量に消費せず、薄膜で成膜・太陽光発電を行うことができます。将来的に光を閉じ込める技術が実用化されれば、さらに厚みをなくして少ない原材料で発電が行えるようになり、環境へのリスクも低減できる可能性があります。
国内では製造販売が進んでいないため、リサイクルシステムの確立は今後の課題となっています。一方、アメリカではCdTe太陽電池の製造元企業が95%以上のリサイクル率を達成しており、国内でも同様の取り組みが推進される可能性があります。
当サイトでは、太陽光パネルのリサイクルについて押さえておきたいポイントを紹介しています。メガソーラーのリサイクルやパネルリサイクルに利用できる補助金制度などを取り上げていますので、次のページもぜひ参考にしてください。