太陽光パネルのサーマルリサイクルとは
太陽光発電には、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルといった複数のリサイクル方法があります。ここでは、熱エネルギーを回収して行う「サーマルリサイクル」について紹介します。
サーマルリサイクルとは
サーマルリサイクルとは、紙やプラスチックなどの廃棄物を焼却する際に発生する熱のエネルギーを利用するリサイクル方法です。
プラスチックは化石燃料を原材料として作られる素材のため、焼却すると高いエネルギーが得られます。
従来のリサイクル方法では汚れや紙などの付着物を取り除かなければなりませんでしたが、サーマルリサイクルは仕分けや清掃の手間をかけず、焼却するだけで熱エネルギーを回収できます。
サーマルリサイクルのメリット・デメリット
サーマルリサイクルのメリット
サーマルリサイクルでは、高い熱エネルギーが得られる廃棄物を燃やすことで効率的に熱を回収できます。
回収されたエネルギーは廃棄物発電や施設の暖房・給湯設備に利用されるほか、地域暖房や温水プールにも利用されています。リユースやマテリアルリサイクルが難しい廃棄物でも、循環型社会の形成に貢献できる方法です。
サーマルリサイクルのデメリット
プラスチック製品をそのまま埋め立てると、地球温暖化を引き起こす物質のひとつであるメタンガスが発生します。
サーマルリサイクルでは焼却によってメタンガスの発生を抑制できますが、二酸化炭素の発生は避けられません。そのため、環境保護を意識する場合はケミカルリサイクルやマテリアルリサイクルが優先されます。
太陽光パネルにおけるサーマルリサイクルの事例
低温熱分解法によるサーマルリサイクル
電子材料や化成品を取り扱う企業が産業技術総合開発機構とともに廃太陽光パネルの高度リサイクル処理技術を共同開発した事例です。
従来のリサイクル処理では、フレームやモジュールの解体の際に原料同士が強固に結合しており解体・分離が困難な状況でした。そこで、熱を加えることで熱分解を起こし、一度の処理でガラス・樹脂・セル・リボンをきれいに分離できるようになりました。
サーマルリサイクルを組み合わせた処理ライン
独自の技術で太陽光パネルに含まれるアルミ・銅・銀・ガラスなどの素材をほぼ100%回収できるリサイクル処理ラインの実用事例です。
年間9万枚(見込み)の太陽光パネルをリサイクルできる処理ラインに入ったパネルは、EVA熱分解処理炉にかけてサーマルリサイクルを行います。のこった枠やガラスを回収し、さらに高度選別ラインで銅やシリコンセル(銀)などを分離します。
太陽光パネルのサーマルリサイクルを検討しよう
太陽光パネルには、ガラスや銀など再利用可能な素材が含まれています。
埋め立てによる廃棄から循環型社会の形成に向けて、サーマルリサイクルを含めた処理方法を検討してみてください。
当サイトでは、太陽光パネルリサイクル装置の導入にあわせて知りたいポイントをまとめています。以下のページも、導入前の参考にしてください。