化合物系太陽光パネルのリサイクル
太陽光発電パネルの素材はシリコンが有名ですが、他にも有機物や化合物などの素材が使われています。ここでは、化合物系太陽光パネルの概要とリサイクル事情について紹介します。
化合物系太陽光パネルとは
化合物系太陽光パネルは、化学結合によって作られた化合物を材料として作られている太陽光パネルです。代表的な化合物系太陽光パネル「CIGS/CIS(セレン化銅インジウムガリウム)」はCu(銅)、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Se(セレン)が、「CdTe(テルル化カドミウム)」にはカドミウム(Cd)とテルル(Te)が使われています。CdTeを使って作られているカドミウムテルル「CaTe」も太陽電池として活用されている素材です。
化合物系太陽光パネルは天候に影響されにくい特性があり、変換効率の高さや低コストといったメリットの多い製品です。日本国内では技術開発が進められ、海外でも製品として利用されています。
化合物系太陽光パネルのリサイクル事情
処理業者の対応に差がある
化合物系パネルは、製品によって含有されている物質が異なります。化合物系パネルの処理ができる事業者は限られており、含有物質についての情報を事前に業者側に提供しなければなりません。
シリコン系パネルはほとんどすべての処理業者が引き取っていますが、化合物系パネルは中間処理〜最終処分までの過程に時間がかかることから、業者によっては対応していない場合があるのです(※1)。
太陽光パネルを適切に回収して材料を取り出し、安全にリサイクルするためには設備投資や技術力が必要です。2024年現時点ではまだ十分なリサイクル体制が整っていない状況です。
有害物質の除去や処理の問題
化合物系パネルには、いくつかの有害物質が含まれているものがあります。環境や人体に影響を与える可能性のある有害物質は次のとおりです。
- 鉛(Pb)
- セレン(Se)
- ヒ素(As)
- カドミウム(Cd)
有害物質の含有量は製品によって異なりますが、環境汚染を防ぐためには含有物質とパネルの構造をよく理解し、廃棄物処理法にしたがって適切に処理する必要があります。
リサイクル方法確立の必要性
セレンやカドミウムのような有害物質が処理の過程で溶出する可能性を踏まえて、処理業者は産業廃棄物にかかわる基準を満たしながら、適切に処理しなければなりません。シリコン系パネルがシェアの大部分を占めている状況のため、化合物系パネルのリサイクルについては、処理業者への情報の周知と、業者同士での情報交換を重ねてリサイクル方法を確立させていく必要があります(※2)。
化合物系太陽光パネルのリサイクルを検討しよう
化合物系太陽光パネルは低コストかつ効率的な発電が可能ですが、有害物質が含まれているものについては、処理のノウハウをもつ業者に依頼し、適切な方法でリサイクルを行う必要があります。
当サイトでは、太陽光パネルのリサイクル装置を「分離型」「一体型」に分けて紹介しています。ぜひ下記のページを参考にしてください。