太陽光パネルリサイクルで用いられるホットナイフ分離法
太陽光発電システムには、ガラスやアルミなどのリサイクルに適した素材が使われています。近年、素材の再利用ニーズが高まっており、効率的なリサイクル技術に注目が集まっています。ここでは、太陽光パネルリサイクルで用いられるホットナイフ分離法の仕組みや、メリット・デメリットを解説します。
太陽光パネルリサイクルにおけるホットナイフ分離法とは
ホットナイフ分離法の仕組み
ホットナイフ分離法とは、約300℃に加熱したナイフ(ホットナイフ)を使用して、EVA樹脂層を溶融させながらセルやシートを剥離する技術です。
ガラスを損傷させることなく剥離できるため、効率的にガラスを回収できる技術として知られています。
この方法は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が研究開発し、確立しました。現在では複数のリサイクル事業者が、この技術を活用したリサイクルに取り組んでいます。
ホットナイフ分離法のメリット
ホットナイフ分離法は、パネルの多層構造を効率的に分離できます。各層には異なる材料が使われており、ダメージの少ない状態で剥離することが難しかったものが、ホットナイフ分離法によって適切に分別できるようになりました。
ホットナイフ分離法では、アルミフレームを取り外してからホットナイフでEVA層とガラスを分離します。板のままガラスが回収できるので、ガラスを破砕せずにリサイクルに回せます。
ホットナイフ分離法のデメリット
ホットナイフ分離法が適用できるのは、シリコン系の結晶パネルに限定されています。化合物系のパネルはそのままではリスクが高く、専門業者と協力して処理しなければならないため、依然として課題が残った状態です。
また、曲面加工や両面発電対応パネルはホットナイフ分離法に適していないといった点もデメリットといえるでしょう。
ホットナイフ分離法を用いた太陽光パネルリサイクル装置の事例
自動太陽光パネル解体装置・ライン
フランスの産業廃棄物処理業者・Envie社に、自動太陽光パネル解体装置・ラインを提供した事例です。
フランスでは太陽光パネルの設置が進んでおり、同時に排出量も増加していることから、処理能力向上と高いリサイクル性を確保するために、自動太陽光パネル解体装置・ラインの採用を決定しました。
同社は、パネル解体装置と銀や高純度シリコンなどを分離回収する技術を組み合わせたリサイクルを実施しています。
※参照元:日経BP「『ホットナイフ』による太陽光パネル解体装置、仏社が採用」(https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/01892/?ST=msb)
太陽光パネルリサイクルの基礎知識を習得しよう
ホットナイフ分離法は、太陽光パネルに使用されているEVA樹脂とガラスを効率的に分離する技術です。
この技術は、新たに開発されたリサイクル技術であり、海外にも輸出実績があります。太陽光パネルの材料を効率的にリサイクルできる技術として注目されています。
当サイトでは、太陽光パネルの特徴とリサイクル方法、リサイクル装置について詳しくまとめています。リサイクル装置の導入を検討する際に役立つ情報を以下のページでご確認ください。