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太陽光パネルリサイクルで用いられる低温熱分解法

太陽光パネルのリサイクル方法の一つが「低温熱分解法」です。太陽光パネルのリサイクル装置導入を検討している方は、低温熱分解法の特徴や実際の事例について知っておきましょう。

低温熱分解法とは

低温熱分解法とは、廃棄された太陽光パネルから再利用可能な部材を回収するためのリサイクル技術の一つです。まずアルミ製の外枠を取り外し、パネルをセラミックフィルタトレイに載せて熱分解炉に投入します。一定の温度で熱処理を行うことで、ガラス、セル、リボンなどの構成部材が分離され、それぞれを効率よく回収できる仕組みです。

樹脂でできている部分は過熱処理中に溶け、ガラスやセルなどの部材を分離できる点が特徴とされています。また、熱を再循環させることでガス消費量を抑え、リサイクル処理時のエネルギー使用量も削減できます。

多くの部品がリサイクル資材として再利用可能であることから、太陽光パネルリサイクルのための方法として関心が高まっています。

低温熱分解法を用いた太陽光パネルリサイクルの事例

型板ガラスへのリサイクル

太陽光パネルの低温熱分解法では、ガラスにリサイクルされるケースがよく見られます。太陽電池モジュールの約62.5%がガラスで構成されており、これを原料として板ガラスにリサイクルされた事例もあります。

パネルから抽出されたガラスは建築用型板ガラスとして再利用され、建設用途に活用されています。太陽光パネルを活用して型板ガラスを製造することで、直接的な排出だけでなく、サプライチェーン全体(いわゆるスコープ3に含まれる間接排出)においても温室効果ガスを大幅に減らせる可能性があるそうです。

以上のように低温熱分解法は、再生可能エネルギーの利用に加えて温室効果ガスの排出抑制にもつながるため、環境負荷の低減に寄与すると考えられています。

※参照元:【PDF】経済産業省「太陽電池パネルの適正処理・リサイクルの推進について」(9ページ)
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/pdf/007_04_00.pdf

フロート板ガラスへのリサイクル

フロート板ガラスへのリサイクルが行われた事例も報告されています。太陽光パネルを低温熱分解法でリサイクルしても、フロート板ガラスとしての活用は従来困難とされていました。技術的に難しいとされていたためです。

しかし2023年11月にはフロート板ガラスの原料とする技術が確立されました。実際に5tのカバーガラスが低温熱分解技術によって、フロート板ガラスへと精製された後に供給されました。今後は活用の場が拡大する可能性もあります。

※参照元:【PDF】経済産業省「太陽電池パネルの適正処理・リサイクルの推進について」(11ページ)
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/pdf/007_04_00.pdf

その他の太陽光パネルリサイクルの基礎知識について確認しよう

太陽光パネルリサイクルの方法の一つに、低温熱分解法があります。熱処理によって部材を抽出できる点が特徴で、建築用ガラスとして再利用される事例もあります。

太陽光パネルリサイクル装置の導入を検討している方は、まずリサイクルの仕組みやその効果について理解を深めることが大切です。以下のページでは、導入前に押さえておきたい基礎知識をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

太陽光パネルリサイクル装置導入前に
知りたいことについて詳しく見る

太陽光パネルリサイクル装置の
形状と特徴の違い

「アルミ枠剥離機能」と「ガラス剥離機能」がカギ

太陽光パネルリサイクル装置は、アルミ枠を剥離する「アルミ枠剥離機能」 とガラスとバックシートを剥離する「ガラス剥離機能」が必要です。

太陽光パネルリサイクル装置は、これらの機能が別になっている「分離型」と全て一体 になった「一体型」があり、それぞれ特徴があります。 工場の規模や目的に合わせて選択しましょう。

安さ・省スペースを求めるなら
分離型
分離型イメージ

(※)製品イラストはイメージです。

「アルミ枠剥離装置」と「ガラス剥離装置」の別々に使用する方式。アルミ剥離後にガラスを剥離する際、太陽光パネルを手動で移動させる必要があります。

メリット
  • シンプルな構造のため低価格で導入可能
  • 2つの機能を連携させるパーツがないため、小さいサイズの装置が多い
デメリット
  • パネルを装置間で移動させる必要があり、手間が発生する
  • シンプルな構造のため自動化されている機能が少なく、素材の回収等の手作業が多い
作業の効率化を求めるなら
一体型
一体型イメージ

(※)製品イラストはイメージです。

「アルミ枠剥離機能」と「ガラス剥離機能」が一体になった装置。パネルを持ち運ぶことなく、最終処理まで一貫して行えます。装置により、多少のパネル移動を行う必要があります。

メリット
  • パネルを移動させる手間がなく、最終工程まで処理可能。
  • 作業工数が少ないため、大量処理が容易
デメリット
  • 自動化されている機能が多く複雑な構造のため、費用が高い
  • 装置が比較的大きく、工場の規模によって導入できない場合あり
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