CIS太陽電池のリサイクル
化合物系太陽電池の一種であるCIS太陽電池は、シリコンを使わない薄膜太陽電池として注目されています。海外でも技術開発が進んでおり、日本国内では適切なリサイクルや廃棄も含め重視されています。ここでは、CIS太陽電池の特徴とリサイクル事情について紹介します。
CIS太陽電池とは
CIS太陽電池とは、銅(Cu)・インジウム(In)・セレン(Se)を原材料とする太陽電池のことです。
Cu・In・Seの頭文字をとって「CIS」としています。日本語では化合物半導体太陽電池の一種として知られており、少ない原材料で太陽電池として機能し、曇り空でも電気の流れを分散させて発電できるため、低コストながら高効率の太陽光発電が期待できます。
CIS太陽電池は、薄膜かつ二酸化炭素の排出量も少なく抑えられます。価格が安いだけではなく、原材料の資源を無駄に消費しない点が特徴です。
CIS太陽電池のリサイクル事情
ソーラーフロンティア株式会社では、CIS太陽電池モジュールの生産を2022年6月まで行い、現在は出光興産次世代技術研究所に研究開発技術を集約して、太陽電池パネルのリサイクルやエネルギーマネジメントシステムの実証・開発に取り組んでいます。
2022年までの自社生産・リサイクルのプロセスでは、結晶シリコンと同様のルートで回収処理を行いながら、パネルに含まれる含有物質情報を公開していました。また、セレンの溶出が懸念されることから、複数の外部試験機関で溶出試験を実施し、基準値を下回る結果が得られました。
生産を終了した2024年現在でも、CISパネルの適正処理についての試みを続けており、セレンを含むその他の金属物質も回収する高マテリアルリサイクル率太陽電池パネル処理技術の開発を続けています。(※1)
公益財団法人宮崎県産業振興機構では、廃棄物となったCIS太陽光パネルの再利用に2012年から取り組み、レアメタル回収と基盤ガラスを取り出す自社装置を開発しました。CIS膜に含まれるセレンなどの有害物質については、苛性ソーダで溶解させて固体化して取り出すことに成功し、水に溶かさない方法を確立しました。(※2)
CIS太陽電池以外のリサイクルも確認しよう
CIS太陽電池は原材料を大量に使用せず、薄膜の状態で太陽光発電ができる製品です。
一部では水に溶けない方法でセレンなどの取り出しに成功しており、安全性の高い技術の開発が課題となっています。
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