ペロブスカイト太陽電池のリサイクル
自然環境への配慮から、太陽光発電システムにおいて「ペロブスカイト太陽電池」が注目を集めています。国が技術開発に注力するこの電池はどのような仕組みなのでしょうか。ここでは、ペロブスカイト太陽電池の概要とリサイクル事情について紹介します。
ペロブスカイト太陽電池とは
ペロブスカイト太陽電池とは、色素増感太陽電池の一種として、ペロブスカイト結晶を使用する太陽電池です(※1)。ペロブスカイトとはヨウ素・ヨウ化鉛などを原料として作られる結晶構造の総称で、日本語では灰チタン石(かいチタンせき)と呼ばれます。ペロブスカイト太陽電池は、この結晶構造を有する化合物から作られます。
小さな結晶が集合し膜となることで折り曲げや歪みに強く、従来の太陽電池よりも製造工程を抑えて大量生産ができるようになりました。ヨウ素などの主要な材料は日本が世界シェアの3割を有しているために、原料の輸入に頼らずに生産できる点が特長です。
薄さや軽さ、耐久性の高さを兼ね備えた素材のため、建物の窓や壁、電気自動車やドローンなどの移動体、IoTデバイスとして持ち歩くといった新しい太陽光発電に貢献する、次世代の太陽電池として注目されています。
※1参照元:経済産業省 資源エネルギー庁
(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/perovskite_solar_cell_01.html)
ペロブスカイト太陽電池のリサイクル事情
ペロブスカイト太陽電池には鉛・臭素などの有害物質が含まれています。人体にリスクのある有害物質は正しい方法で処理する必要があり、実効性のある適切な処理方法を確立しなければならない状況です。
産廃業者が不適切に太陽光パネルを処理してしまうと、有害物質が環境を汚染する可能性があります。しかし、環境省が全国122社の撤去解体事業者に行ったアンケート調査では、「処理先を増やしてほしい」「処理費用が高く発注者の負担が大きい」といった要望が挙げられ、適切な処理施設・処理業者の整備や費用面の問題が挙げられています。(※2)
ペロブスカイト太陽電池は複数の層で構成されているため、すべての層を分離して有害物質を回収しなければなりません。廃棄やリサイクルのプロセスに手間がかかるため、リサイクルの課題となっています。(※3)
※2参照元:【PDF】環境省「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルに係る現状及び課題について」(7ページ)
(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/disposal_recycle/pdf/001_03_00.pdf)
※3参照元:NPO法人日本住宅性能検査協会 建築・不動産ADR総合研究所(AAI)
(https://ameblo.jp/otani123/entry-12832715609.html)
ペロブスカイト太陽電池以外のリサイクルも確認しよう
ペロブスカイト太陽電池は日本国内で原料を調達できることから、次世代の太陽電池として注目されています。シリコン系太陽電池に対抗できる可能性をもっていますが、長寿命化やリサイクルシステムの確立が課題です。
当サイトでは、太陽光パネルのリサイクル装置や廃棄に関する基本的な情報を紹介しています。ペロブスカイト太陽電池以外の太陽電池についてもリサイクルや廃棄の方法を解説しています。以下のページもぜひ参考にしてください。