液体窒素を利用した太陽光パネルリサイクル
太陽光パネルリサイクルでは、EVAの剥離や部品の粉砕に液体窒素が利用される事例があります。液体窒素とは液体状の窒素のことであり、食品分野や生物学、低温物理学の実験などでも利用されています。ここでは太陽光パネルリサイクルにおける液体窒素の活用について解説します。
液体窒素の特徴
概要
「液体窒素」は「液化窒素」とも呼ばれる物質で、沸点は-196℃です。常温では気化してしまいますが、極低温の条件下で液体の状態を保ちます。窒素は大気中に含まれており、高圧・低温処理によって大気中の他成分を除去することで得られます。一般的に高圧ガスを取り扱うガス業者や商社から購入できます。
一般的な用途
- 生物学的なサンプルを保存するため
- 低温物理学の実験を行うため
- 食品を瞬間冷凍するため
- 皮膚医療のため
- 電子機器を冷凍するため
- 建設における漏水を防ぐため
- 爆発物を処理するため
- 料理に用いるため
液体窒素は太陽光パネルリサイクルだけでなく、生物学や低温物理学、医療分野など幅広い分野で利用されています。食品を瞬間冷凍するために使われることもあり、最近ではアイスクリームの製造に液体窒素を用いる調理方法もみられます。さまざまな分野で利用されている物質といえます。
液体窒素を利用した太陽光パネルリサイクルの事例
凍結処理によって粉砕困難な部品を処理した事例
液体窒素を用いて、通常は粉砕が難しい部品を処理したケースです。樹脂などが含まれている場合、常温では粉砕が困難です。そこで部品を液体窒素で凍結させ、ハンマーで粉砕することでリサイクルを行います。必要に応じて処理作業中に液体窒素を追加する場合もあります。
参照元:【PDF】埼玉県「太陽光発電設備の処理に関する手引」
(https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/173826/pvsyori-saitamatebiki.pdf)
EVA剥離に使用した事例
リサイクルにおいて、太陽光パネルに使用されているEVAを剥離するために液体窒素を利用した事例があります。液体窒素に浸漬させることでEVAを剥離し、パネル内のガラス部分を抽出してリサイクルできるようにしました。リサイクルの効率化に役立ちます。
参照元:【PDF】新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」
(https://www.nedo.go.jp/content/100803301.pdf)
他にも太陽光パネルリサイクルの基礎知識を確認しよう
太陽光パネルのリサイクルには液体窒素が用いられる場合があります。液体窒素は低温でも液体状態を保ち、EVAの剥離や部品の粉砕に利用されます。
太陽光パネルリサイクル装置を導入する際には、こうした処理に用いられる物質について知識を備えておくことが重要です。液体窒素についてはもちろんですが、その他にも知っておきたい知識があります。そこで以下のページでは、太陽光パネルリサイクルに関する基礎知識をまとめてご紹介しています。リサイクル装置導入を検討しているなら、ぜひ参考にしてください。