太陽光パネル廃棄時の土壌汚染リスクとは?含まれる有害物質と適正処分
太陽光パネルの普及が進む一方で、将来的な大量廃棄による土壌汚染が懸念されています。本記事では、パネルにどのような有害物質が含まれているのか、不適切な処分が引き起こす環境リスク、そして土壌汚染を防ぐために国や事業者が進めている適正処分のルールについて分かりやすく解説します。
2030年代に太陽光パネルの大量廃棄がピークに
太陽光パネルの製品寿命は、設置環境やメーカーにもよりますが一般的に20〜30年程度とされています。2012年のFIT(固定価格買取制度)開始以降に急拡大した太陽光パネルが寿命を迎えることで、2030年代後半には年間50〜80万トンもの使用済みパネルが排出される見通しです。
これほどの膨大な量が一度に廃棄されると、現在稼働している最終処分場がひっ迫する懸念があります。計画的な処理体制が整わないまま廃棄が進むと、処理能力の限界を超えてしまう可能性があり、早急な対策が必要です。
参照元:【PDF】環境省 太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第一版)(https://www.env.go.jp/press/files/jp/102441.pdf)
参照元:ジオリゾーム(https://www.georhizome.co.jp/blog_soil/archives/7292)
太陽光パネルに含まれる土壌汚染物質と流出リスク
大量廃棄時代を前に知っておくべきなのが、パネル内部に含まれる化学物質と、処分方法を誤った際のリスクです。
鉛・カドミウム・砒素・セレンなどの有害物質
太陽光パネルには、製造過程で複数の化学物質が使用されています。たとえば、電極をつなぐはんだには「鉛」が用いられている場合があり、カバーガラスには「砒素」が含まれることがあります。
CIS/CIGS系などの化合物系モジュールでは「カドミウム」「セレン」が主原料として使われている場合があります。これら4つの物質は、土壌汚染対策法においても特定有害物質として指定されており、取り扱いには注意が必要です。
参照元:ジオリゾーム(https://www.georhizome.co.jp/soil_contamination/hazardous-substances/type-standard-value/)
不適切な処分による流出・拡散のリスク
万が一、有害物質の含有情報が廃棄物処理業者へ正確に伝わらない場合、本来必要な「管理型最終処分場(汚染物質の流出を防ぐ設備がある処分場)」以外の場所へ埋め立てられてしまうケースが危惧されています。
不適切な埋め立てが行われると、雨水などを通じて鉛などの有害物質が土壌や地下水へ流出・拡散し、深刻な土壌汚染を引き起こすリスクが高まります。
土壌汚染を防ぐ!適正な廃棄に向けた取り組み
不適切な埋め立てに加え、設備がそのまま放置されたり不法に投棄されたりする事態を防ぐため、現在、国を挙げてさまざまな法整備やルールの構築が進められています。
廃棄費用の積立義務と不法投棄の防止
事業終了後に解体・撤去費用が確保できず、設備が放置・不法投棄されるのを防ぐため、資金面での担保策が進んでいます。2022年(令和4年)7月より、FIT認定事業者に対して廃棄費用の積立が義務化されました。
積立は原則として、毎月の売電収入からあらかじめ差し引かれる「外部積立」の方式です。調達期間・交付期間が終わる前の10年間にわたって積み立てられ、事業者が自分で資金を管理する「内部積立」は、長期安定発電の能力が認められた場合の例外として、定期的な報告を条件に認められます。
含有物質の情報提供とリサイクル推進
環境省や経済産業省は「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」(2016年策定)を設け、メーカーから産廃事業者への積極的な有害物質情報の開示を求めています。
最終処分場のひっ迫緩和を目的として、パネルに含まれるアルミ、銀、ガラスなどの素材を分別し、再利用するリサイクル推進の実態調査や技術開発も進められています。
参照元:【PDF】環境省 太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第一版)(https://www.env.go.jp/press/files/jp/102441.pdf)
まとめ:太陽光パネルの廃棄は適切な手続きで
太陽光パネルには鉛やカドミウムなどの有害物質が含まれる場合があり、不適切な廃棄は土壌汚染を招く恐れがあります。将来的な大量廃棄時代に向け、事業者は費用積立などのルールを遵守し、正しい情報開示と適正なリサイクル・処分を行うことが重要です。
環境負荷を最小限に抑えるため、計画的な準備を進めましょう。